第ニ章†失者は賢力を欲するもの†

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「何にも。あ、でも…挨拶はされたなぁ」 カノンの返事に母はしばらく沈黙する。 何か分かったのかな…? カノンは紅茶を3mもあるテーブルに置いた。 そして頭をポリポリと掻く。 「先生じゃ、ないのね?」 急に母が言った。 「え、あぁ、うん。……見た事ないなぁ、あんな人。この辺にはいないよね、黒髪で赤い目なんて」 カノンの言葉に母は一拍置いて頷く。 「……この辺にはいないわね。でも……」 何やら含んだ言い方をする母に、 カノンは眉をひそめる。 「母さん、何か知ってるの?」 「え? えぇ…まぁね。……北の方に、そういう人種が居るって聞いた事あるわ」 「北?」 母の言葉にカノンは呟く。 「でも、あんな遠くからココまで来る人が居るとはねぇ」 「え、遠いいの?」 カノンは立ち上がってキッチンに近寄った。 すると母は洗い物を終えたようで、クルリときびすを返すとカノンを青い目で見据える。 「物凄く遠いかったはずだわ。だからココへ来るには飛行機で1ヶ月かかるの。 来る人はよっぽどの物好きね」 微笑んで言う母に、カノンは驚きを表わにする。 「1ヶ月!?そんなに遠いいんだ…」 100Kmある距離を飛行機ならわずか1時間で渡る事が出来る。 そんな飛行機で、1ヶ月とはどれだけ遠いのか………… 検討もつかないなぁ…… 「さて、カノン。あなたには私からの課題があるでしょう?」 母に指摘され、カノンは慌てて頷き2階へ上がる。
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