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「何にも。あ、でも…挨拶はされたなぁ」
カノンの返事に母はしばらく沈黙する。
何か分かったのかな…?
カノンは紅茶を3mもあるテーブルに置いた。
そして頭をポリポリと掻く。
「先生じゃ、ないのね?」
急に母が言った。
「え、あぁ、うん。……見た事ないなぁ、あんな人。この辺にはいないよね、黒髪で赤い目なんて」
カノンの言葉に母は一拍置いて頷く。
「……この辺にはいないわね。でも……」
何やら含んだ言い方をする母に、
カノンは眉をひそめる。
「母さん、何か知ってるの?」
「え?
えぇ…まぁね。……北の方に、そういう人種が居るって聞いた事あるわ」
「北?」
母の言葉にカノンは呟く。
「でも、あんな遠くからココまで来る人が居るとはねぇ」
「え、遠いいの?」
カノンは立ち上がってキッチンに近寄った。
すると母は洗い物を終えたようで、クルリときびすを返すとカノンを青い目で見据える。
「物凄く遠いかったはずだわ。だからココへ来るには飛行機で1ヶ月かかるの。
来る人はよっぽどの物好きね」
微笑んで言う母に、カノンは驚きを表わにする。
「1ヶ月!?そんなに遠いいんだ…」
100Kmある距離を飛行機ならわずか1時間で渡る事が出来る。
そんな飛行機で、1ヶ月とはどれだけ遠いのか…………
検討もつかないなぁ……
「さて、カノン。あなたには私からの課題があるでしょう?」
母に指摘され、カノンは慌てて頷き2階へ上がる。
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