~‡プロローグ‡~

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「そうですか、 良かったですね?」 低く、静かで冷酷そうな声で 言ったのはリアノと ガリディスが話していた話題の 張本人、レイだった。 突然のレイの登場に、 リアノもガリディスも呆然と するのみであった。 「お前、何しに来たんだ? まさか…お前も ガリディスと同じ…?」 リアノの質問にレイは満足げに 微笑む。 「はい、私もそちらの ガリディスと同じ、 失賢者でございます。」 レイは腕を腹に当て、 深くお辞儀した。 レイはリアノの執事で、兄妹のように一緒に 育って来ており、 リアノにとってレイは 信頼出来る奴だと思っていた。 しかし、それは大きな間違い だったのだ。 「お前が失賢者なのは 知っていた…。 そして他の失賢者達とは違い、 大賢者の味方だと… 思っていた。……何でだ? お前はそんな飢えた連中とは 関わらないと思っていた。 ------……なのに…」 リアノは身を起こし、俯く。 信じていた者からの裏切り…。 それは思っていたよりも きつかった。 「はい、私はあんな 野蛮な連中の仲間になど なりません。 全ての大賢者の力を手に入れ、 世界征服をするんです。 良い考えでしょう?」 その時、レイの瞳が 怪しく光った。 リアノは言い知れぬ悪寒に身を 震わせていた。 あの優しいレイがこんな 鋭い眼光で自分を見るなんて。 「ささ、ガリディス。チャッチャと 力抜いちゃって下さいよ。」 無邪気に言うレイに 愛想笑いをして、リアノに 向き直すガリディス。 と、レイとガリディスは すぐに気付いた。 リアノの雰囲気が先程までと 全く違うのだ。 「レイが私の味方じゃない って事は、まだあの世に 行けないな? 悪いが、力はやる訳には いかない。」 リアノがやり返してやったと 言わんばかりに笑ってやると、 レイはうすら笑いを浮かべた。 「それなら奪い取るまで。 私達失賢者はあなた達 大賢者から抜き取った力を 自分に入れないと 賢者になる事ができない。 それでもせいぜい賢者 止まりです。 あなた達は元から 大賢者なのに、不公平だと 思わないですか?」
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