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第一章†覚醒†
白いシーツに体を預け、真っ白な天井を見上げる。
今日も学校あるのかぁ…
なんて考えながら。
その時だった。
「カノン!
何してるの、もう起きてるんでしょう?」
母の声だ。
彼、カノン・グレートは溜息をつきつつ
ベットから降りる。
シーツがサラサラと鳴り、
羽布団がベットからずり落ちた。
それを横目に見つつ、
部屋を出る。
いつもなら直す所だが、
頭がボーッとしてそれ所ではなかったのだ。
カノンは部屋を出てすぐの赤いじゅうたんを敷いてある階段を下った。
「あぁ、起きたのね。
ほら、ボーッとしてないで早く椅子に座りなさい」
階段のすぐ側にあるキッチンから母が言う。
カノンは小さく頷いて
階段を下りきり、
ゆっくりとアクビをしながら席に着いた。
「Good morning.カノン」
発音の上手い英語でカノンに挨拶をしてきたのはカノンの父だった。
「おはよう………-ふぁあ~」
とカノンがアクビをしつつ挨拶を返すと
父は新聞をじっと見詰めながら口を開いた。
「カノン、朝の挨拶は何だった?
少なくともアクビをしながらではなかったはずだが」
父の指摘にカノンは眉をひそめる。
あぁ、めんどくさい…
「Good morning.…母さん、スープは」
カノンは嫌々挨拶をしたあと、
母を振り返った。
グレート家の朝はいつもこんな感じだ。
グレート家のしきたりは
一に 美しく
ニに 礼儀正しく
たったそれだけではあるが、
その二つは細かな事をまとめたようなモノで
逆にあらゆる場面にかかって来るのだ。
カノンはそのしきたりがあまり好きではない。
父いわく、日頃の色んな事に役立つのは解るのだが、
……確かにそうではあるのだが………
年頃の少年が強いられるのはあまりにも
少年の意志を無視し過ぎというものではないだろうか?
他の少年達は
外でスポーツや剣術を楽しんでいると言うのに。
「カノン?スープ。ほら、どうぞ。」
カノンは長々と考えていた途中に母に話しかけられ、
ハッと我にかえる。
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