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「あっ……りがとう…」
カノンが礼を言うと母は微笑む。
カノンは母がキッチンに向かうのを見送ってから
スープに向き直った。
別に両親が嫌いな訳ではない。
大好きの方だと思っている。
しきたりがいけないんだ。
しきたりが。
「カノン、いじめにあってないか?大丈夫か?」
父にいきなり話しかけられ、カノンは顔を上げた。
「うん、大丈夫。ありがとう」
カノンが素っ気なく返すと父はそうか、と頷く。
カノンは気まぐれに父を見詰めながら
スプーンでスープを掻き混ぜた。
「オッドアイの事だよね?ありがとう、大丈夫だよ」
そう、カノンの両目はオッドアイなのだ。
確かに綺麗な目ではあるのだが、
逆に不思議な雰囲気をまとってもいるので
よくいじめっ子に目を着けられるのがこの家族内での悩みであった。
それで、父はさりげなくきいてくれたのだ。
カノンは胸の内で喜びながら
そろそろ冷めてきたコーンポタージュスープを飲んだ。
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