ロク

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  「お前にとっておきの魔法をかけにやって来たぜ! とりあえず、廊下は寒いから中へ入ってもいいか?」 普通の魔法使いは両腕をこする。 「…普通の魔法使いなんて呼んでないよ… どうせ私なんて相手しても貴女がすぐに壊れてしまうだけ… 私は危険だから…」 その言葉は重く悲しい… ーコンコン しばらくしてからまたノックの音が聞こえた。 「普通の魔法使いだぜ!中へ入れて欲しいぜ!」 「何で…まだいるの? さっきも言ったでしょ? 私は危険なの! 私の相手なんかしても私が全部壊しちゃう…みんな壊れちゃうんだ! 帰ってよ! もう…私に構わないで…」 「…」 普通の魔法使いは帽子を目深にかぶり、肩を震わせる。 「…そんなこと言われたのは…初めてだぜ… どうしよう…涙があふれてきやがった…」  
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