ロク

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  「何であなたが泣いてるの? 泣きたいのは私の方よ! あなたがそんな所で泣いてたら泣けないよ…!」 二人は声をあげて泣く。 しゃっくり混じりの泣き声が響く。 二人が泣き疲れてきた頃 「ねえ、まだそこにいるの? 魔法使いさん…」 「ああ、まだここにいるぜ。 お前に魔法をかけるって決めたからな。 私は諦めが悪いんだ。 お前に魔法をかけるまで帰んないぜ。」 それを聞いた少女はムクリと重い腰をあげ、ドアへ歩みよる。 「今なら入ってもいいよ…」 「…」 「でも、私は開けられないから…そっちから入ってきて…」 「…」 「ねえ、魔法使いさん? 何か言ってよ!」 ―ドンドンッ ドアを叩く。 「…」 返事はなかった。  
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