誰もが死ぬときも一人

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 綺羅星に紛れる反逆の者に堕落を仄めかされ、地に落ち、泥に塗れる清らかな人よ。  あなたには立ち上がる意志と自由を分け与えてある。  意志を礎とし自由を行使するのだ。  もしも、そのまま暗黒に落ちることなく、再び立ち上がり、埃を払い除け、天を目指すなら、恩寵を授けよう。  もがき苛む姿を見守るだけとは心苦しいが、さらなる飛躍の時なのだ、悪徳の誘惑を振り払い聖なる人へ進む道のりなのだ、そう信ずるならば心が揺らぐことはない。  絢爛たる星々の中で一際強く明るく、輝くものこそが――  誰よりも慈愛に溢れ、大海を受けとめる大地の器こそが――  立ち上がるのだ。  あなたは光なのだから。
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