第2章

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現代―――  奈良県桜井市  PM600辺りはすっかり夜になっていた。 そんな暗がりの中にも関わらず、まるで日が落ちた事にも気付かない様子で意見を交わす2人の男がいた。  「なぁ…はおう。やはり見当違いなんじゃないのか?確かに奈良県と言えば大和朝廷の重要な場所ではあるけど…そんな分かりやすいところに手掛かりがあるとは思えないんだが…」  話し掛けられた男は不機嫌そうに  「なんだよ…ゴリだって邪馬台国に繋がるものが奈良県や京都にあるかも知れないって学会で発表していたじゃないか。」 2人は駆け出しの民俗学者だった。学生時代からの同期の2人はいつか大きな発見をと夢見る若い学者だった。  「しかし…邪馬台国はなぜ九州と畿内の二通りの説があるんだろうな」 もちろんゴリも学者なのだから諸説の理由は知っている。2人は学生の頃から何度も意見を繰り返しては新説をとなえお互いに否定しあう。  そんな2人が行き着いた諸説とは異なる説を見いだし、その裏付けをライフワークとしている学者だった。  ――邪馬台国は二つあったのだ――  と言う、全く新しい説に…
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