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そのあとセキュリティ万全な校門をくぐり、噴水のある中庭を通り、馬鹿でかい校舎に入り、理事長室に来た。
道のりが長すぎる……。てか何で中庭に噴水なんか置いてんの!馬鹿でしょ!
「金持ち学校恐るべし……」
あたしは一人呟いた。
「それじゃぁ今から学校のこと簡単に説明するね。よく聞いててよ?」
「あい」
理事長専用のイスに座った叔父さんを見れば、やはり理事長なんだと思い知らされる。
バターンッ
叔父さんが何かを言おうと口を開いた瞬間、理事長室の扉が勢いよく開いた。あたしの肩は大きく跳ねる。
「理事長ー!転校生ここにいるでしょ!?どんな……子?あれ?」
扉を勢いよく開けた人は元気いっぱいに話し出す。そして話の中盤であたしを見て固まった。
「あれあれ?君が転校生チャン?わぁ、どう見たって女の子にしか見えないや!」
そりゃ、女の子ですから。ってそうじゃなくて、この子誰?明らかにこの学校の生徒だよね?
ってことはこの学校の生徒=男になるわけで。あたしは驚異的な早さで叔父さんの後ろに隠れた。
「なになにぃ?何で隠れるの?かんわいーっ!」
そのままバタバタ追いかけ回される。
ここから逃げ出そうとして扉付近で誰かにぶつかった。ぼふっという音と共に尻餅をつく。
「大丈夫か……?」
上から声がして思わず見上げる。そこには三人の男の子。男の子……?
「キャー!叔父っ助けろっ!」
パニックになって命令口調。そしてなぜか呼び方が叔父。まぁ気にしない。
「大丈夫だから、槙、とりあえず座って?」
有無を言わさぬ叔父さんの顔。やはり姉弟なんだと思った瞬間だった。
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