STORY.2

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そして、半身を乗り出した瞬間に彼女は目を見開いた。 敵は迷彩服を着ている事から想定どおりに軍人であるのは明らかだろう。 敵が男であるのも想定どおり。 ただ、想定外だったのは。 敵がコチラを見据えていて、軽機関銃の銃口がコチラにしっかりと向けられていたことだ。 それが意図するのは――・・・敵が自分の存在を認識しており、尚且つ隠れていた場所も知られていたということだ。 だが、鈴仙・優曇華院・イナバの判断と行動力、そして人外であるが故に持ちえていた運動能力で彼女は危機を回避した。 テーブルの影から彼女は飛び出し、彼女は自身の持つマシンピストルの引き金を引く。 全くと言っていい程に皆無な命中率だが、相手を牽制するには効力を十分に発揮した。 当然の如く、だが訓練された人間にしては少し遅く感じるくらいの間を置いて男は軽機関銃を彼女に向けた状態で引き金を引き絞る。 彼女は横跳びの状態で、蜂の巣状態になっている襖を突き破る。 そのコンマ数秒の後に彼女の右側――日本古来の木製タンスが蜂の巣になる。 彼女は博麗神社境内に地面と平行な状態で飛び出していた。 彼女はマシンピストルを持っていない片手で地面を突く。 その反動を活かして体を一回転させ、彼女は着地する。 そして、彼女は本堂に向き直り身構える。 マシンピストルを両手で構え、命中率を上昇させる。 ――彼女は視界に入った動くモノに銃弾の雨を浴びせんとばかりに、神経を張り巡らせる。 自身のトレードマークであり、自らの種族である月兎の象徴である兎の耳を用いて本堂内の波長を探る。
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