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「・・・何故、私の能力を知っているの?」
十六夜 咲夜の表情が険しくなる。
ソレと同時に両手にナイフを構える。
今までの投げる構えで無く、接近戦のみに重点を置いた構えだ。
数本で無く、一本をグッと握り締めて十六夜 咲夜は人影との接近戦に挑んだ。
時止めを駆使したナイフによる攻撃を無効化された以上、能力は効かないと考えるべきだ。
だから一か八かの賭け――接近戦を仕掛ける。
相手は恐らく人間では無い。
あくまで推測の域を出ないが、相手が人間だという感覚を感じられなかった。
種族によるハンデもある以上、勝てる可能性は格段に低くなった。
だが、0とは言い切れない。
だが、十六夜 咲夜は数秒後に考えが浅はかだったと思い知らされる。
攻撃は掠りすらせず、全て避けられる。
先程は隙を突かれ、カウンタ―で拳による打撃を受けそうになった。
――強い。
十六夜 咲夜は息切れをしながら思考を巡らせる。
先程のカウンタ―もゴオッという風切り音が聞こえ、当たれば絶対に無傷で済む筈がない威力だというのは感じ取れた。
自分は全力で挑んでいるために余裕は無い、だが相手は未だに余裕綽々という状態だった。
自分では力不足なのだと悟る。
そして、彼女が思い付いた手段は一つだった。
自分の仕える主――吸血鬼のレミリア・スカ―レットが来るまで時間を稼ぎ、到着すれば即座にサポ―トに徹する。
彼女と人影の実力差が思い起たせた結論だった。
そして、彼女は時間稼ぎを始める――・・・。
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