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日が当たりません。
暗い暗い森の奥の様です。
ある日、木である私は眩しくて目を醒ましました。
ある木こりが私の成長の妨げになっていた草の枝を鋏で切りながら
私に声をかけてくるのです。
無いはずの瞳からは涙が出て、私は人間に戻りました。
先生が聞きました。
私は肯定しながらずっと下を向いていました。
泣き顔を見られたく無かったからです。
唇を噛んで涙を落とさない様に必死でした。
それから私はまた木こりになりました。
心に落ちた林檎の様な傷を抱えながら少しずつ癒えていきました。
だけれど割れた林檎はもう治りません。
私はまだあの日の暗闇にいます。
人は誰しも木こりです。鋭い斧を持っていて相手を傷つけない様にみんな必死です。
だからこそ頑張りたい。
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