01:聖騎士グリード

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「そのリェダ姫が?」 「来年からリサロへ行くことになった」 「それはそれは。アカデミーにご遊学されるとか?」 「お前の任務は姫の護衛兼教育係だ」 「今なんて?」 「リェダ姫の護衛兼教育係」 「無理だ!」  グリードは叫けんだ。 「ファウスト様の前では言いにくいですが、おれには一番向かない任務ですのでお断りします」  そのまま踵を返してしまわなかった自分を誉めながらグリードは懇切丁寧な説明を始めた。 「おれは見ての通りのぐうたら騎士です。そりゃあ昔は爵位も持っていましたが、金欲しさに二束三文で売り飛ばしたような輩です。それにおれはリェダ姫の教育には宜しくない。女が好きだし――もちろんガキにゃ興味ないが――酒は毎晩浴びるように飲む。教会も時間を知るくらいにしか利用していない。おれにこの任務は無理です。なんなら勤勉で敬虔で禁欲的な騎士を紹介しますが? 例えば――ミランとか」 「自己主張がはっきりしている人間は好きだが、困ったことになったね」  困ったと言ったくせにファウストはふわりと微笑んだ。 「君のことをランバート団長から聞きました。私はこのナムルで君ほどの適任者はいないと思っています」  グリードがランバートを見ると高速で視線をそらした。どんな話をしたんだと睨みながらグリードはため息をついた。  
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