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「あら、優しいのね」
幽々子が微笑む。
巫女はその歩みを止め、まっすぐ見据える。
「捕まえた瞬間に、殺しておくべきよ。それが亡霊でも」
桜符 完全なる墨染の桜 -春眠-
そう呟いた瞬間、幽々子の体は消え、代わりに幾千もの反魂蝶が舞う。
「っ!まさか二重結界を破るなんてっ!」
巫女は慌てて辺りを見回すが、幽々子の姿を見つけることはできなかった。
蝶は次々と数を増し、巫女へとゆっくり近づく。
大きく溜め息を吐き出し、巫女は護符を握る。
「まったく、なんで毎度毎度こう面倒事に巻き込まれるんだろ」
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