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「あ…」
幽々子は姿を表し、西行妖を見つめる。
せっかく咲いた花々は、新たな封印によって全て枯れ果てた。
「さて、まだ続ける?」
巫女は満足したように振り返る。
「…はぁ。もういいわ、お腹も空いたし、あとは好きにしなさい」
そう言い捨て、幽々子は屋敷へと向かった。
あの巫女が新しく作った封印は、おそらく術者が死んだところで解けないだろう。
幻想郷を覆う大結界と同様、いつまでも解けることがないだろう。
「じゃあ春は返してもらうわ」
そう言って、巫女も冥界の入り口へと戻っていった。
満開の桜並木をゆっくりと楽しむように。
ふと巫女は立ち止り、西行妖を見つめる。
「咎重き桜の花の黄泉の国、 生きては見えず 死しても見れず…か」
そう呟き、そしてもう2度と振り返ることなく
巫女は冥界を後にしたのだった。
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