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「桜の木…?」
妖夢は目の前にある巨大な木を見上げる。
他の桜の木は少しではあるが、徐々に蕾を付け始めているのにも関わらず
その木だけは蕾どころか、葉すら付いていない。
「あぁ、西行妖ですね」
「どれだけ知っているかと聞かれても、私より幽々子さまの方が詳しいのでは?」
「そうね…でも私が知っていることと言っても」
そう言うと幽々子はそっと木に触れる。
「何度春が来ても決して咲くことがない、ただの大きな桜というくらいよ」
触れた手からは冷たい木の感触が伝わってくる。
その冷たさはまるで木そのものが死んでいるかのように感じた。
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