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閉店時間が過ぎて取りあえず明日の事について話し合おうってなったのだが、私は一人で聞くには耐え難かったので恵くんの服を掴んで俯きながら聞いた。
話し合いに参加しなきゃ…私のことなんだ…そう思えば思うほどに鮮明に蘇ってくる記憶…
私は泣きたいのをずっと堪えていた。
泣いちゃダメ泣いちゃダメ泣いちゃダメ泣いちゃダメ…
ずっと言い聞かせるだけで精一杯だった。
作り笑顔ですら出来ない状態だった。
ふと、顔を上げさされたと思ったら間近に恵くんの顔があった。
一番最初にあった時の瞳の色…
でも、いつもより優しい笑顔で…
私のおでこと恵くんのおでこをくっつけてひとつだけ…たったひとつだけ私に言った。
「泣きたい時は泣き?俺の前だけでも泣き?」
私が一番欲しかった言葉…
私は泣きたかったんだ…
でも、誰もが私に笑顔でいることを望む。
だから泣けなかった。泣くと迷惑がかかると思ったから…
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