悪戯心から

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「で…貴方はいくつなの?」 「さあね。あててごらん。」 「…特に興味は無いからいいや。」 からかってみようとすると思いもしない反応だった。 本心からそう言ってるわけでは無く、手玉に取られまいとしているのが、目の色で解る。 「クックック…オマエといると退屈しなさそうだな。」 「それは良かったですね。」 機嫌を損ねたらしく、彼女は顔を逸らす。 そして、何気に自分の腕で自分を抱きしめた。 ああ。寒いのか。 俺には空調はほどよいが、肩を出したドレスで足に氷のうを当てていては体温が下がったのだろう。 ベッドルームに毛布があったな。 俺はそれを取りに向かった。 寒いなら寒いと言えばいいのに… 優しくしてやれば付け上がるのが女だと思っていたが… 変わった女もいるもんだ。 今日のパーティーは女に纏わり着かれて、散々だったが、貴兄さんに会えたのと… この女に出会ったのとで、収穫ありだったな。 日本に滞在する間、暇をしなくてすみそうだ。
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