13955人が本棚に入れています
本棚に追加
有名人ばかりのテーブルの側に来ると、リューは、うまくタイミングを計り、挨拶して輪に入っていくと、私をダシに使って、みごとに会話していく。
その行動力と会話のうまさは、驚くべきものだった。
私はテレビで見た人々が実際に目の前にいる緊張を隠して、口数少なめに微笑むので、精一杯だった。
何人と会話しただろうか……。
まだ続くパーティーを途中退席して、パーティー会場を抜ける頃には、私は、気疲れでぐったりしていた。
足を案じて高めではないヒールにしてはいたが、ジクジクと痛みを訴えていた。
パーティー会場からホテルの玄関へ移動し、フロントにハイヤーを依頼して外に出る。
「まずまずだな。」
リューが私にコートを着せてくれながら言った。
「そう…ありがと。」
言葉や態度は俺様なのに、こういうところはキチンと気を使ってくれるのよね…。
紳士の国の人だけあるわ…。
こういった扱いに慣れていない私は、いちいち驚いてしまうのだが…。
「ホテルへ戻る前にお前の家に回るんだったな。」
「うん。でも、荷物だったら自分で取ってくるから、先ホテルで休んでいていいよ。」
そう、昼間はパーティーの準備で時間がとれなかったから、この後、家に回って身の回りのものを取ってくる事になっていたのだ。
いくらなんでも、何も無い状態では泊り込めないしね。
幸い旅行用に荷物を用意していたから、その旅行バックと携帯の充電器を取ればいいだけなので、そう、時間はかからない。
ただ、自宅は23区外にあるので、往復に時間がかかる。
最初のコメントを投稿しよう!