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「どうした?」
「リューは、日本のサイズには合わないわね。」
「日本はコンパクト志向だからな。」
「コンパクトって…。」
日本の志向よりも貴方が大きいんだよ。
「なんだ。」
「いいえ、別に。」
リューは納得せず不服そうな目を私に向ける。
「…まあ、いい。足は大丈夫か?」
「大丈夫よ。低めのヒールを選んだしね。…そういえば、何から何までありがとうね。」
私は、高校以来久しぶりのロングヘアーになった、ウィッグの髪の感触を確かめながら言った。
「ほっといて、変な格好されても困るしな。必要経費だ。」
「ああ、そうですか……それもそうですね。素敵なお洋服から何からありがとうございます。私には到底買えるしろものでもなかったので、大変助かりました。」
何がと言う訳でもないが、言葉に苛立ち、しっかりと棒読みで答えた。
「……どうした?」
私の苛立ちを感じ取ったのかリューは眉をひそめたが、私にもわからないのだから、私は話を変えた。
「いいえ。何でも。で、今日はあんな感じで良かったの?」
「ああ…まあまあだな。」
言葉は『まあまあ』だったが、瞳から失望や苛立ちを感じないので、きっと大丈夫だろう。
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