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旅の冒険者の男は噴水広場から街中へと進む。それを追うかのようにして少し距離を起きながらギュウとスヨンは歩いて行く。男は一心不乱な感じで顔を動かさず街を目指して進むが、それを後ろから見ていたギュウは周りに気がついた。どうやら街の人も冒険者が物珍しく、すれ違った人も必ず振り返る程だった。
しばらくして男はショッピングセンターに入ろうとしたが、警備員に止められた。ギュウとスヨンは男と警備員のやり取りを隠れて聞き耳を立てた。
「すいませんがどちらに行かれるんですか?」
警備員は手で男の進行を止めて尋ねた。
「いやここの店の武器屋に用があるのだが。」
男は少し驚き、警備員に返した。止めた警備員は近くの警備員と顔を見合わせ、男へと振り直し新たに質問をした。
「失礼ですが、前回にこの街に来られたのはいつ頃ですか?」
男は質問の内容に驚いたが、警備員の眼差しは真剣だったので、素直に答えた。
「確か一年くらい前でしが。」
「そうでしょうね。残念ながらここの武器屋は業務スーパーになりましたよ、半年前に。」
警備員はため息混じりに口を濁した。それを知った男は驚き、警備員の方を掴んで慌てて聞き返す。
「でっではこの街に他に武器屋は無いのでしょうか⁉武器を新調しないと、このままでは西の家族の家へたどり着けません。」
「いっ痛いっ。離して下さい‼」
警備員は痛みのあまり強引に男を力づくで振りほどいた。男はバランスを崩し尻餅をつく。
「はぁはあ。武器屋なんてこの御時世ほとんどありませんよ。この街には一軒もありません‼さあここには用が済んだでしょ‼」
警備員は息を整えながら男に言った。男は力無く立ち上がり警備員に軽く一礼し、ショッピングセンターを後にした。
夕日がさし、しばらく隠れていたギュウとスヨンはお互い合図しあい、男の足取りを追った。
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