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第二話:旅
ある日ギュウはゲーム店の店主スヨンと昼食を食べる約束をしていたので、街中の噴水広場に向かっていた。今日は澄み渡る青空に気分を良くし、いつもより軽い足取りで歩いていた。
ちょうど待ち合わせの所にたどり着くと、噴水で顔を洗っている男がいた。男は豪快に顔を両手で荒々しく洗い、水浸しの犬が体を振るが如く顔を左右に動かす。
「ふーっ生き返るぜー。何せ最近は野宿ばかりで顔も洗えなかったからなー。」
凄く大きな声で独り言をかます男。確かになりを見ると薄汚れたマント、腰に剣が差してある。明らかに冒険者の様だ。ギュウは何を思ったか相手に見えない方へゆっくり気づかれない様に廻った。
(ポン) ‼‼‼‼
いきなり肩を叩かれ声を必死にこらえ後ろを振り返ると、そこには約束をしていたスヨンが立っていた。
「何してんスか?」
怪訝な表情でギュウに尋ねてくる。ギュウは冒険者のなりをしている男を死角からそっと指を指しスヨンに小声で話し返す。
「見てみろよ。冒険者がいるんだよ。確かに外にはモンスターがいるが、今時冒険者はいないだろ。」
何故ならこの世界で冒険者は微妙な職業なのだ。収入は不定期だし、衣服や装備のお金もかかる。独り身なら問題ないだろうが、妻や子を養うには難しいのだ。
「スヨンあの男気づかれない様に後つけようぜ。珍しいからどんな行動するかみたいしな。」
興味心身で語りかけるギュウにスヨンは止めもせず、握り拳を縦に親指を突き立てていた。
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