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顔をパーカーのフードで隠し、ただフラフラと歩く少年がいた。
それ以外に分かるのは、まだ発達途上の低い身長だということと、ボロボロになった黒い髪なことのみ。
……何なんだ。
この世界は。
救いようのない政府や大人。
何故分からない。
俺達はただ……、ただ幸せな世界にしたかっただけなのに。
なんでこうなる?
……全部俺のせいだ。
俺がいらないお節介をしたから死んだ。
でも許さない。
なんで何の罪も起こしていない俺達が犯罪者と呼ばれ、警察に追われなきゃいけない。
お前らが悪いんじゃないか。
俺達のような、ただのガキを意図的に捨てさせ、孤児にし、それを周りに見せて、苦しみを知らせる。
仲間の一人が万引きで捕まった。悪いことだとは分かっていたが生きるためには仕方がなかった。
しょうがなかった。それなのに
『もう使えないから殺しとくか?』
それを知って、捕まった仲間を助け、逃げた俺らに嘘の大罪を被せ、殺す。
許せねぇ。
家族だったアイツらを殺したお前らは許せねぇ。
でも、俺はお前との約束を全て守る――。
そういう約束を、全てが始まった時、俺が作っていたから。
でももう疲れたよ……。
なぁ、姫様よぉ。
「おい、そこの坊主」
その時、変な男が俺に話しかけてきた。
髪は色の濃い白髪、どっちかっつったら銀髪のほうがあってるかもしれねぇ。
「なんのようだ」
「一緒に来いよ。新しい世界を見せてやる」
これが周到に用意されていた計画が動き出した瞬間だった。
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