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「いつも同じクラスです。もう飽きた」
私は軽く太一のことをあしらった。
「今は休み時間なの?」
太一は欠伸を隠さずにしたあと
「そのとおりでござリンコ」
意味不な言葉をかえしてきた。
相手をしててもしょうがないので黒板に書いてある図を頼りに自分の席につく。
「おまえの席一個前だぞぉ!」
太一に大声で言われた。
あのヤロ……。
後でなりふり構わずにぶん殴る決意をして私は前の席に座る。
――チャイムがなった。
「この学校に入り、あなた達は……」
チャイムと同時に入ってきた先生の声が聞こえる。
今言っていることは新入生がよく言われる定番ランキングベスト五位に入ってそうな言葉だ。
新しい高校に入ってもそこまで面白くないなぁ……、っつか私が遅刻したのに気づいてないのか?
内心、先生のことをバカにした私はなんかつまらないので窓の外の方を見る。
数分見ていると一匹の小鳥が桜の木に止まった。
その小鳥はペンギンのように両足でジャンプしながら木の枝を移動し、その後小さな翼を羽ばたかせ飛んでいく。
「ん?」
私は目をこする。
なんか一瞬だけ黒い何かが見えたような気がしたのだ。
「真鍋、早く踊り場にでろ!」
担任がめんどくさそうに言い放った。
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