第一章 出会い

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あれは約半年ほど前の事。 私は産まれて3週間で親元を離され、ペットショップの陳列ケースに入れられていた。 子供からお年寄りまで男女を問わず、毎日色んな人が私や他の仲間を見に来る。 そこは私が全く安らげない空間だった。 私はなぜかその頃から人間やあらゆる動物の感情や言ってる事がわかるようになっていた。 優しい顔をしていても実は腹黒い人間の感情 ケースに入っている動物達の悲痛な心の叫び 聞きたくもないのにどんどん私の心に届いてくる。 なぜこんな場所にいるんだろう。 見せ物じゃない! ずっとそんな事ばかり考えていた。 そんなある日、私に向けられる2つの優しい目の存在に気付いた。 そう言えばこの人、昨日も一昨日も見たような… この人の目には優しさの奥に深い絶望感や無気力さが漂っている。 全く光の差し込まない深海の奥底にいるような瞳。 その瞳をじっと見ていると、弱々しく”助けて”という電波を感じた。 普段私は見せ物ケースの隅で身を丸めている事が多い。 だけど…その瞳に引き寄せられるようにガラスの前まで歩みを進めて、尻尾を振ってみた。 .
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