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「田口と古田って同じ中学校だったのか?」
「ああ。もっと言うと幼稚園からだな」
「へえ、幼馴染って奴か、すげえな」
感心しながら廊下を歩いていくと、108号室と札が下がっている扉の前にたどり着く。「荷物届いているかな。なあ、六時になったら飯食いに行かないか?」たけるがドアノブに手をかけながら尋ねる。
「いいですよ。それまで部屋の片付けをしていますね」
隣の109号室に立ち、翔とたけると別れて部屋に入る。入ってすぐに壁が出迎え、右に行くと机とタンスが置かれており、壁だと思っていたものは二段ベッドだった。左側も同じように机とタンスが置かれている。二段ベッドを挟んでそれぞれの空間を作っているようだ。
荷物は右側に置かれていたので、そのまま自分の部屋にし、ダンボールの中身を出して片付け始める。
五時五十分、全ての荷物を片付け終えた智美は自分の部屋を出て108号室の扉をノックする。「はいはーい」たけるの声と共に扉が開かれる。
「片付けは終わりました?」
「もちろん。おい翔、食堂に行こうぜ」
「ああ」
「……翔?」
「せっかく相部屋なのに苗字で呼ぶなんてかたっ苦しいだろ? だから下の名前で呼ぶことにした。なあ、古田のこと智美って呼んでいいか? 俺もたけるでいいからさ」
「あっ、はい。構いませんよ」
「よっしゃ、じゃあ行こうぜ、智美」
食堂は半分程席が埋まっており、生徒達の話し声に包まれていた。智美達も夕食を受け取ると、開いている席に座る。
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