第一章

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足を踏み出すと、ピリッとした静電気が肌に伝わる。 部屋の中は思ったよりも質素だった。 小さなソファーに資料が重ねられたテーブル。 器具や機材、転がったネジ。 他の部屋とさして変わらない。 「えっとーパソコンはぁ…」 本来の目的であるパソコンを探す。 祖父が何か隠しているというこの研究室も気になっているひかるは、取りあえず電気をつけた。 パチ と音と共に部屋が明るくなる。 一瞬急な明るさに目が霞むが、すぐに辺りを見渡した。 同時にとてつもないものが目に入る。 「…ひと…?」 ひかるの目の前には、短い階段がある。 その先に、眠るようにぐったりとした人間が椅子に座っていた。 椅子に座っているだけではない。 その人間の身体から夥しい数の長い管とコンセント、太い線から細い線、ぶら下がる歯車にそれに埋め込まれるネジ。 まるで機械のように繋がれているのだ。 「………人間!?」 ひかるは驚いてそれに駆け寄った。 それは全く動かない。 生きているのかさえわからない。 唯一肌が出ている俯き加減の顔を恐る恐る持ち上げると、ひかるは息を飲んだ。 「機械の女の子だ………。」 目にかからないように分けられた前髪、小さい鼻と口、長い睫毛は作り物のように頬に影をつくっている。 人間だと思ったが、これは機械ロボットだ。 一見人間に見えるが、肌の質感や柔らかさ、細かい部分の造りが物足りない。 何より肌が白すぎる。 これではまるで蝋人形だ。
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