第一章

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「いいよ。それよりホラ、落としてる。」 足元の資料を拾うと、マユミの手の中の資料に重ねた。 「本当に…すみません。」 「マユミちゃんだから許すよ。」 軽く笑ってみせると安心したようにまた小さく頭を下げた。 「マユミちゃんは部活にきたのー?」 鞄に荷物を詰めながら尋ねると、はいとマユミが答えた。 「もう少しで文化祭ですし…ってあれ?帰っちゃうんですか?」 鞄を背負うひかるに、マユミは困ったような表情になる。 「うん、今日はちょっと寄るとこあって…悪いけど。」 「あー…先輩方も忙しいですよね。もう少しで受験ですし…その前に部活も廃部しちゃいますよぅ。」 思い詰めるマユミはいつものことだが、少し罪悪感を感じてしまう。 「明日は来るから!ね!」 みんな連れてさ、と言うとマユミは頷いて手を振った。
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