第一章

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佐野 ひかる ひかるが所属している部活はPC文芸部。 いわゆるパソコン研究&文芸という自由気ままな部活であるが、三年生は大学受験、二年は幽霊部員1名、一年は堀田マユミだけといった廃部危機にさらされている。 マユミにだけ資料集めやPCでの企画まとめなどやらせておくのも悪い。 明日には全員に声でもかけてみようかと思う。 「はぁ…大学かぁ。」 自動ドアが開き、学校の外へ出ると真夏日が肌を刺した。 なるべく日陰に移動するも暑さは大して変わらない。 とぼとぼと歩くうちに、胸の奥で変な蟠りが湧いた。 中学から高校へエスカレーター式で入学し、 目標も希望もないままあっという間に三年になってしまった。 ぼぅっとしているのはひかるの性格上そうであるのだが、客観的に見ればなんて情けない子なんだと思われるかもしれない。 「大学…大学」 口にしても自分がまた大学生という階段を上るということに実感が湧かない。 あまりにも能天気な自分。 「こんな私に夢ってあるのかな…。」 そういえば 昔母によく本を読んでもらっていた。 人魚姫の本が一番記憶に残っている。
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