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人魚姫が人間に恋をして、
裏切りにも似た悲しい現実を受け止め最後は泡になる…
幼かった自分には、少し切なくて、恋という甘い世界に憧れた。
恋…
私の中での母はいつも1人だった。
父に裏切られ離婚し、小さな自分を育てて
からだは元々病弱で、思い出に移る母を思い出すと薬の匂いも一緒に懐かしまれた。
「恋は素敵よ。」
そう言って母は笑う。
「人に恋すると、その人の幸せまで恋しくなるの。」
なぜ?
母は愛した人に裏切られたのに
あんな言葉を私に話したのだろう。
母が好きだった「人魚姫」
人魚姫はどうして
王子様が大切だったの?
どうして他人の幸せを祈ったんだろうか。
そんなに その人との恋が大切だったのかな
「…自分が死んでも?」
だめだ。
自分はすぐに根本的なところまでのめり込むくせがある。
パンッと音が響くくらい頬を叩くと、手に持っていた重い鞄を持ち直した。
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