第一章

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ガサガサと鞄の中から取り出したのは昨日夜遅くまでかかったモノだ。 「あぁ…ありがとう。」 受け取ったおじいさんは満足そうに笑みを浮かべると、ポケットから縮れたお札を手渡してきた。 「バイト代だ。」 「わーい。」 ひかるが手渡したのは機械の中にあるメモリカードの整理と新しい機能を記憶するチップ。 こういうものを造ったり手を加えたりするのは結構得意な方なのだ。 たまに祖父の佐野達治から依頼を受け報酬を貰うといったバイトをする。 「ひかる、お前新しい機能のPC欲しいっていってたな。」 ぼぅっと辺りを見渡していると達治から声をかけられる。 「…え!?なになに、くれるの!?」 どれだけ頼み込んでも譲ってくれなかったPCがあった。 どうやら発明の途中で使用してるらしい。 それを達治はひかるに譲るというのだ。 「どうして?いいのっ?」 目を輝かせているひかるとは逆に、達治はうかない顔をしている。 「あぁ…新しいモノ造ってたんだが…やめることにしたんだ。」 あれだけ発明が好きな祖父が その発明をやめる? ひかるには疑問が浮かぶ。
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