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「確かに貴女は、唐突に現れた存在で、神永朔磨との接点が明白ではありません。しかし現在、警察は神永朔磨の関係者を血眼になって探しているのですよ。捕まったらどうするおつもりです」
アシュタルテは細い人差し指を立てて、ちっち、とばかりに振った。
「捕まえられないわよ。その確証がなければ、わたしだってこんな愚かな行動には及ばないわ」
「確証?」
「そうよ。朔磨信者が続々と消えているのなら、警察の前に姿を現すわたしは、朔磨信者かどうか、向こうは判断に迷う。ただ迷っているだけでは逮捕出来ず、任意同行に留まるでしょ? 令状が提示されないなら、わたしは帰宅しても罪にならないわ」
工藤は目を屡叩かせた。
次いで、深々と溜息を吐く。
「……ほんっとに。肝が据わってますね」
「そうじゃなかったら、動くわけないじゃない。わたしは計算なしでは行動しないのよ」
「忘れていました。貴女を型にはめて考えてはいけませんね」
工藤はヘッドフォンを置いて、椅子の背もたれに顎を置いた。
「何か飲みますか? こうも天気が荒れてしまうと、電波も傍受出来なくて」
「そうね。今日くらい、ゆっくりお茶でもしましょうか。もう夜だけど」
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