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モーゼズは、にやりと口角を上げる。
「神永朔磨が姿を消したバイク事故の現場に、これと全く同じ封筒が残されていた。時間かかったけど、出所が分かったぜ」
「モーゼズ……それじゃ、これで朔磨の居どころも割り出せる!?」
珍しく興奮した様子のアシュタルテが、モーゼズの掌中から封筒をひったくった。
モーゼズは長身の腰を折って、彼女の手元の封筒に目を注いで笑う。
「勿論、そっちも突き止めたよ。実際どうなのかは、行ってみないと分からないけど」
アシュタルテの色の濃い青い瞳が、モーゼズの鋭い碧眼を見つめる。
モーゼズは少しく首を傾げた。
「可能性はゼロじゃねぇから、賭けてみる価値はあると思うぜ?」
アシュタルテはレースで襟刳りを飾ったキャミソールの胸元に、ぎゅっと封筒を抱き寄せた。
「………工藤、モーゼズ。すぐに準備して。それから、ナンバーファイブにも、このことを告げて」
モーゼズが片眉を上げる。
「行くっちゃね?」
大勢で彼に日本語を教えたせいで、モーゼズは時折こうして、方言になる。
アシュタルテは頷いた。
「勿論、行くわよ。やっと見つけた手掛かりなんだから」
「OK、じゃ俺は港に連絡してくる」
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