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しかし、彼の身体にも限界がきてしまった。
彼はもはや、犯人を取り押さえるために走ることが出来なくなってしまったのだ。
「……それはそうと。ジェニー、今は朔磨はどうなってる?」
メイウェザーは柳眉を寄せた。
「まだ彼を追うつもりなの?」
「ま、気持ちだけな。あれだけ執念{しゅうね}く追い回した男だぜ、交通事故なんかで片を付けられるわけがねぇ」
個室部屋の病室には、黒い皮張りのソファが二組置かれている。間に机を挟んで向かい合っているそれには、雑多な書類が散らばっていた。
それが神永朔磨に関するものだと、容易に察することが出来た。
「あれっきりよ。事故現場から失踪したまま。あと6年経てば、死亡扱いね」
「……10年かかったからな、生き返ってきやがるのに。6年ぐらい、簡単に過ぎっちまうかい」
「神永朔磨もそうだけど、キユも相変わらず消息不明よ。やっぱり関係あるのかしらね、2人の失踪は」
「無関係ってことぁねぇだろ。しっかしお前ェよ、あれと入れ替わるみてぇに現れたアスタロトは気になんねぇのかい?」
「さて、どうかしら。キユ、朔磨、アスタロトに必ずしも共通点があるとは限らないもの」
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