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「はぁ………」
レンはレモネードの入ったグラスを回しながら溜息をついた。
「祝いの言葉は言うべきだよな……」
レンは自分の頭を掴んでくしゃくしゃにした。所詮この披露宴でも自分はリン王女の付添人―――呼ばれるような存在では無かった。召し使い程度の位の人間など来てはいけなかった。それがリンが一緒に行きたいと望む事で初めて行くことが出来る。つまりそれだけ彼は力が無かった。
しかし来れたことでメリットとデメリットが起こった。
メリットは緑の国の王女――――ミクの素晴らしい笑顔が見れたこと。
デメリットはミクの素晴らしい笑顔を見てしまったこと。
ミクと青の国の王子――――カイトが腕を組みながら笑っている。そんな二人はレンにとってまるで
太陽だった。
決して届かない存在
見れば目が潰れてしまいそうで
それでもそこにある現実
レンは苦笑した。涙も出なかった。薄情者だと自分でも思っていた。
「召し使いの恋なんてこんなものか…」
レンはレモネードを飲み干すとステージの方へ歩いた。
「ミク王女!!」
例えるならばレンは
「あらレン!!」
どこか儚い
「―――っおめでとうございます!!」
月だろう
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