緑に似合うは赤

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「ああ…」 燃え盛る炎は幻想的には程遠い。言うならば恐怖だろう。人々の悲鳴、薪がわりに燃える家。まさしく地獄だ。そんな地獄からさらに墜ちていく事実があった。 「いやぁぁあぁ」 「助けてくれぇぇえぇ」 「お母さん!?お母さん!!」 「誰か、誰かぁぁあぁ」 「王は!?軍の兵達はどうしたんだ!?」 「まさかあいつら―――」 逃げた。人は所詮自分の事で手一杯だ。それは貴族にも言え農民にも言えがくぽにも言えた。 「俺は…何がしたかった?」 自分は゛王女の命令゛に甘えていたのか? 王女が悪くなるのを知っているのに止めるのが恐かったのか? 守りたかったのはリンでもレンでもルカでもミクでもカイトでも国でも農民でも無くて自分だったのか? それは誰にも分からない事だ。当の本人でさえ分からないのだから。 「世の中は無情なんだな…」 こんな悲劇が起きていてもただ時間は過ぎていく。何も無かったように。 ガザッ―――― 枯れ葉が擦れる音がした。がくぽは銃を構え音のする方へ向けた。 「が…くぽ?」 「ミク……ッ」 ターゲットの登場だ。
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