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あなたが渡すべきだと思う」
「だって無理なんでしょう?」
「……時計台の向こうの丘」
「ふぇ?」
「そこにいる。だから」
ハイ、とでも言いたそうな腕でバスケットを返してきた。
「……どうしたのよ」
「気分の問題。それより―――」
「分かってる。リンには黙ってあげるわ」
「―――ありがとう」
「礼を言うのはこっちよ助かったわ」
ルカはバスケットを手に持つとバイバイと手を振った。めぐぽも振った。その後で自分の手を見つめた。
「いい…よね?」
めぐぽは最後に溜息をついた。
「ルカ~どうしたの?そんな化粧してデート?」
「ちっ違いますよ!!ただ知り合いと会うだけです!」
「へぇ~頑張って来てね」
「何を!?」
「イロイロと?嘘よ嘘、楽しんできてね?」
「行ってきます!!」
「行ってらっしゃい、」
こんな可愛げのある少女が国一つ滅ぼしたとは思えない。人は恐ろしいものだとつくづく思う。
ルカは城を出た。馬車で行くかと言われたが止めて歩く事にした。城を出たときから平民の視線がぶっささった。ここまで激しいといつ反乱が起きてもおかしくない状況である事が充分に把握出来た。
(余計なこと考えないで速く行かなくちゃね、待ってるかもしれないし)
ルカは小走り程度の速度だった。
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