記憶のカケラ

4/18
前へ
/99ページ
次へ
「行っちゃったな先輩 寂しい!?」 「…寂しくないと言えば嘘になるけど、いつまでも依存してる訳にはいかないし、淳が言ったんだろ 澤田に頼るのは辞めにしろって」 「小説の〆切りって1ヶ月後だっけ?」 「後は最後の章を書き上げたら終わり これから帰って頑張るよ」 「なあ優知ってた? 先輩の親父さんって作家の澤田春樹なんだぜ」 ………澤田春樹!! 日本を代表する作家の一人であり、自身も好きな作家で作品は全部読んでいる 苗字が同じだとは思ったけどまさかの親子という事実に、今年一番の大声をあげていた。 「は!?マジで!? 澤田のやつそんな事一言も言ってなかったし そんなんだったらアドバイスとかして欲しかったのに!!」 「ま、自分の力で頑張れって事だろ」 初めて聞く事実に口を尖らしていると、淳に頭をポンポンと叩かれる 「ちぇっ」 離陸していく旅客機を恨めしそうに眺めていると、そっと伸ばされた淳の手が指に絡んだ。 周りからの好奇の目も、淳には何でもない事のようにものともせず歩いていく 運転をしながらも、淳はその手を離そうとはしなかった。 .
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

400人が本棚に入れています
本棚に追加