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「行っちゃったな先輩
寂しい!?」
「…寂しくないと言えば嘘になるけど、いつまでも依存してる訳にはいかないし、淳が言ったんだろ
澤田に頼るのは辞めにしろって」
「小説の〆切りって1ヶ月後だっけ?」
「後は最後の章を書き上げたら終わり
これから帰って頑張るよ」
「なあ優知ってた?
先輩の親父さんって作家の澤田春樹なんだぜ」
………澤田春樹!!
日本を代表する作家の一人であり、自身も好きな作家で作品は全部読んでいる
苗字が同じだとは思ったけどまさかの親子という事実に、今年一番の大声をあげていた。
「は!?マジで!?
澤田のやつそんな事一言も言ってなかったし
そんなんだったらアドバイスとかして欲しかったのに!!」
「ま、自分の力で頑張れって事だろ」
初めて聞く事実に口を尖らしていると、淳に頭をポンポンと叩かれる
「ちぇっ」
離陸していく旅客機を恨めしそうに眺めていると、そっと伸ばされた淳の手が指に絡んだ。
周りからの好奇の目も、淳には何でもない事のようにものともせず歩いていく
運転をしながらも、淳はその手を離そうとはしなかった。
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