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淳の甘い仕種に心を揺らがせていると、優の脳裏に急激にリセット前の記憶が流れ込んできた。
「優、どうした?」
目を見開いたまま固まった優は返事をする事も出来ずに震え始めた。
長男が産まれた夜、立ち会った淳が手を握って一緒に呼吸をしてくれた事
産まれた瞬間涙を流して喜んだ事
夜中に熱を出して二人で救急センターに駆け込んだ事
どういう訳かプッツリと記憶から削除されていた子供達の事が脳裏に甦った。
思春期の難しい年頃とはいえあんなに愛おしい子供の存在を忘れていた事に衝撃を受けた。
私何やってるの
淳との別離を決めてリセットして、再び胸をときめかせて…
自分の事しか考えてなかった
子供の存在を奪う権利なんて私にはないのに。男の自分にはもう子供は産めない…
だから例え淳と結ばれたとしても二度とあの子達には会えないんだ
こんな馬鹿な私が淳に愛される権利なんてない
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