リセットのリセット

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暖かい何かに包み込まれるような感触に目を覚ました。 優を抱きしめるようにして眠った淳の寝息を背後に感じて、昨夜の恥態を思い出した。 私…淳に抱かれちゃったんだ。 起こさないようにそっと身体の向きを変えると、寝息をたてる淳の顔を眺めた。 あの頃の中年になった淳の顔も精悍で好ましかったけど、20代の淳も若々しいからというだけじゃない魅力のある顔をしていると思った。 少し垂れた目元が色気を醸し出している。厚みのあるその唇が、夕べ施された愛撫の数々を思い出させ思わず顔が赤くなっていた。 「…淳…あなたを愛してる」 寝ている淳に、一生打ち明ける事はないだろう優子としての本音をポロリと零した。
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