†序幕†

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古く・・・薄暗い洞窟の中 1人の青年が立っていた 黒く長い髪を後ろで結び、背中には一本の『釣竿』のような棒を背負った青年 その容姿は美しく、女性と見間違えるほどだ そしてそれを妖しく引き立てる・・・真紅の瞳 血のように紅い両眼 彼はその瞳でずっと自分の前・・・洞窟の奥を見つめている そこには・・・一本の巨大な剣が刺さっていた 彼はその剣を見つめたまま、その場に立ち尽くしていた やがて・・・小さくつぶやく 「すまぬ・・・ワシはもう、お主を連れてはいけぬ」 剣に向かって声をかける彼 その真紅の瞳が・・・悲しく揺れる 「ワシはたくさんのモノをなくしてきた お主の『本当の主』も・・・ワシが殺したようなものじゃ」 そう言って、彼は剣に向かい歩き始める 彼の足音が、不気味に響き渡っていた 「そんなワシに・・・お主を連れてゆく資格などない」 彼は剣の前に立ち止まる それから、ソッと刀身に触れる 優しく・・・とても愛おしそうに、彼は剣を撫でていた 「なんて・・・あやつが聞いたら、『馬鹿野郎』と言うじゃろうな」
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