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ふらつく彼女を支えたのは20代後半、童顔で170cmあるかないかの少し背の低い男だった。 見た目は短い黒髪だが、街灯に照らされて、赤っぽい髪の毛が何本かあるのが見えた。 髪と同じような色の瞳が、じっと目の前の女を見つめていた。 男は、自分に寄り掛かって朦朧としているその女の腕を、自分の腕に絡ませた。 そして、歩き出した。すると女もあたかも自分の意思で歩いているかのように、自然と一緒に足が前に出た。 目はほとんど閉じられているが、遠くから見たらイチャついている恋人同士のようだ。違和感は何もなかった。 男はすぐ路地に入った。大通りの四分の一ほどの幅だった。 建物の室外機や換気扇がこっちを向いている上、ゴミが散乱していて、異様な匂いが漂っていた。 そこを抜けると、薄暗い大通りに出た。 ほとんどの建物のシャッターが閉まっていて、誰もいなかった。 彼はその通りを左に歩き出した。 相変わらず、女もついていった。 この街は、駅を中心に道が四方に伸びている。 しかも、その大通りを簡単に行き来できる細い路地がいくつか並んでいて、上から見ると蜘蛛の巣ようだ。 本当に蜘蛛の巣状になっているかは誰も知らないが。 知らないというより、皆、興味がないだけだ。 自分たちは地を這う生き物なのに、なぜ上から見たらどうなっているかを知る必要があるのだろうか。
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