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さらに重なる彼の言葉に、ようやく我慢の限界が来たのか、男はいきなり大声を出した。
「なんだと!喧嘩売ってんのか?!痛い思いしないとわからねえみたいだな。」
そう言いながら距離を詰め、彼を間近で見下ろした。
周りの男たちも武器をそれぞれに構えた。
しばらくお互いに黙っていたが、彼は鼻で笑ってその沈黙を破った。
口角をつり上げニヤッと嘲笑う。
「お前大丈夫か?さっきから言ってるだろ、この女は俺のだ。日本語わからないのか?」
男は彼の挑発を真に受けた。
後ろにいた仲間も呆然としていた。
だが、次第にこみ上げてきた怒りに我を忘れ、男の表情は一気に怒りに染まる。
「なんだとコラァ!もういっぺん言ってみろこの糞餓鬼がぁ!」
唾をまき散らしながら怒鳴って拳を振り上げた。
その瞬間、彼の瞳がカッと見開き、赤く染まった。
殴りかかってきた拳がピタリと止まる。
「な、なんだっ、手が動かねぇ!てめぇ何したんだ!」
いくら足掻いてもその手はビクともしない。
気付けば体全体が金縛りにあったかのように動かなくなっていた。
彼は赤い瞳で男の目をじっと見て、低い声で言った。
「失せろよ。」
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