2.

8/8

156人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
バンッ!! 分厚い辞書が床に落ちたような音とともに、男は10mくらい後ろに吹っ飛んだ。 コンクリートに背中を叩きつけられ、痛みに顔を歪めた。 男は戸惑いの表情で赤い瞳の男を見た。 仲間たちも驚愕の表情を浮かべ彼を見つめていた。 数秒の沈黙、そして仲間の1人がじりっと後退りをした。 彼らの心は恐怖という言葉で埋め尽くされた。 目の前にいる男は今何をしたのか、なぜ瞳が赤いのか、なぜ吹き飛ばされたのか。 次から次へと出て来る疑問に脳が追いつかない。 「なんだよ。今度は殺されたいのか?」 低い声でそう言った彼の赤い瞳は鋭く光った。 「く、そっ。お、覚えてろよ!」 さっきまでの勢いとは打って変わって、男達は一目散に逃げていった。
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加