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バンッ!!
分厚い辞書が床に落ちたような音とともに、男は10mくらい後ろに吹っ飛んだ。
コンクリートに背中を叩きつけられ、痛みに顔を歪めた。
男は戸惑いの表情で赤い瞳の男を見た。
仲間たちも驚愕の表情を浮かべ彼を見つめていた。
数秒の沈黙、そして仲間の1人がじりっと後退りをした。
彼らの心は恐怖という言葉で埋め尽くされた。
目の前にいる男は今何をしたのか、なぜ瞳が赤いのか、なぜ吹き飛ばされたのか。
次から次へと出て来る疑問に脳が追いつかない。
「なんだよ。今度は殺されたいのか?」
低い声でそう言った彼の赤い瞳は鋭く光った。
「く、そっ。お、覚えてろよ!」
さっきまでの勢いとは打って変わって、男達は一目散に逃げていった。
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