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サキは暗い道を早足で歩いていた。 この道も駅を中心とする蜘蛛の巣状に並んだ大通りの一つだった。 商店街だったのだろうか。 たくさんの店が並んでいるが、全てシャッターが閉まっていた。 シャッターには意味のわからない落書きがある。 そのシャッターの前にはホームレスらしき人間が横たわっていた。 よく見ればそれは1人だけではなく何人もいた。 薄汚れた毛布にくるまっていたり、ジャンバー一枚だったり、新聞紙をかぶっていたり。 ゴミがあちこちに散乱していて、異臭が漂っている。 ふと空を見上げても、周りの賑やかな通りのおかげで星は一つも見えない。 彼女のコートの左ポケットの中にはさっき殺した男から抜き取った紙が入っていた。 サキはその紙をギュッと握り締めていた。 ガッ! いきなり何かに足を掴まれ、サキは前に倒れこんでしまった。
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