序章

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私はいつ死ぬだろうか。 明日?1ヶ月後?10年後? 1日を終えて眠るとき、目を閉じる前にいつも考えていた。 考えても意味のないことだが、そういうことに限って気になるものだ。 例えば、子どもが手を離して空高く飛んでいった風船はどこに行き着くのか、とか。 綺麗に澄んだ青い空はいつ色を変えて雨になるのか、とか。 誰かが流した涙はいつ時とともに忘れ去られてしまうのか、とか。 これらと同じように他愛のないことだ。 そんなどうでもいいことを誰かが教えてくれるわけでもない。 答えがあるかどうかも怪しい。 そうだ、大したことじゃないのだ。 気にしなくていいことなのだ。 それでも考えてしまうのは人間だからだろうか。
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