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女は簡単にベッドに倒れこんだ。
しばらくの間呆然としていたが、自分を見下ろしている男の目がさっきとは違うことに気付き、急いで手をのけようとした。
しかし肩を押さえている手は強くてビクともしない。
男は女の首に片手をかけた。
首を軽く締められ、苦しくなる。
女は首にある男の手を掴んで、引きはがそうとするもやはり無理だった。
じりじりと迫ってくる恐怖で声も力も出ない。
「あんた…名前なんて言うの?」
冷たい声音に怯えながら答える。
「…よ、よこやま…はるかです」
声を震わせながら名前を告げると、目から涙が流れた。
男は流れ落ちた涙を指で撫でた。
「泣いても無駄だよ。」
顔を近付けて淡々と告げた。
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