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その瞬間、彼の瞳の色が赤くなった。
彼女はそのルビーのような瞳に驚いて、声を出そうとした。が、口が思うように動かない。
次第に体の力も抜けて全てが動かなくなった。
「本当は、抵抗してもらった方が燃えるんだよ。」
そう言いながら女の首筋を撫でる。
「でも今はすげー腹へってるんだよね。」
何かを訴えるような女の目を無視し、耳元に顔を寄せて低い声で囁いた。
「知ってる?女の血ってすっげー美味いんだよ。」
ゾクッとするような彼の声色に、ふとある記憶がよみがえる。
…そういえば…職場の先輩が言ってた。
最近女性を狙った事件が多発してるって。
襲われた女性はその時の記憶がなくなっていて、首筋にはある傷が残る。
まるで、吸血鬼にでも噛まれたかのような傷跡だって…
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