4.

5/6

156人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
その瞬間、彼の瞳の色が赤くなった。 彼女はそのルビーのような瞳に驚いて、声を出そうとした。が、口が思うように動かない。 次第に体の力も抜けて全てが動かなくなった。 「本当は、抵抗してもらった方が燃えるんだよ。」 そう言いながら女の首筋を撫でる。 「でも今はすげー腹へってるんだよね。」 何かを訴えるような女の目を無視し、耳元に顔を寄せて低い声で囁いた。 「知ってる?女の血ってすっげー美味いんだよ。」 ゾクッとするような彼の声色に、ふとある記憶がよみがえる。 …そういえば…職場の先輩が言ってた。 最近女性を狙った事件が多発してるって。 襲われた女性はその時の記憶がなくなっていて、首筋にはある傷が残る。 まるで、吸血鬼にでも噛まれたかのような傷跡だって…
/174ページ

最初のコメントを投稿しよう!

156人が本棚に入れています
本棚に追加