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「おしかったな。30秒過ぎた。」
ボスはニヤリと笑い、サキから視線を外し、机の上の資料を見た。
「30秒…ですか。」
「帰ってきたら5分以内に報告ってそんなに難しいことじゃないと思うんだけど。」
義務付けられた5分以内報告。
入口で本人確認をされてから5分の間にボスに任務報告をしなければならない。
皮肉の入り交じった声でそう言われる。
「申し訳ありません。」
サキは深くお辞儀をした。
ボスはサキをチラッと見て、またニヤリと笑った。
「別にいいけど。
失敗でもしたのか?」
視線を落としていた少年がバッとサキを見た。
「…………」
「はっ。だんまりか?おもしろい奴。」
椅子の背に寄り掛かりながら得意そうな顔でそう言った。
「もう出てっていいよ、アリヤ。」
ボスはサキを見たまま言った。
アリヤと呼ばれた少年は、一瞬戸惑いながらもボスの方に向き直り、深々とお辞儀をした。
そしてサキにもお辞儀をして、部屋を出ていった。
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