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「あ、はい。かしこまりました。」
それにしてもここの人間は礼儀正しい。
扉が閉まった途端、サキは息を吐いて壁に寄り掛かった。
そして腕を組んでボスの方を見ながら口を開いた。
「さっきの少年、新入り?」
さっきの礼儀正しさとは打って変わった口調だ。
「あ?あぁそうだよ。アリヤユウマ、3週間前に入った超新米。」
「3週間で任務行かせたの?」
サキは驚いて言った。
「あいつの腕は確かだよ。」
「ふーん。じゃあ任務成功?」
「いいや。殺し損ねた。」
ボスはタバコに火をつけながら呟いた。
「とりあえず厳重注意。姿見られなかったらしいからな。」
白い煙で顔が覆われる。
「…それよりもサキ。今俺が気になってんのはお前のことなんだけど?」
サキはため息をついた。
「まさか…殺し損ねたとか?」
「そんなわけ。仕事は完璧。でもねー…」
「でも?」
サキは少し黙った後、ためらいがちに口を開いた。
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